月がのぼった夜の動物園で、管理人のおじさんが動物たちのオリを見回ります。
「ぐっすり おやすみ、ゴリラくん」
「もう ねるじかんだよ、ぞうさん」
「たのしいゆめみなね、キリンさん」
懐中電灯で照らしながら、オリの動物たちに声をかけていきますが、
いたずらもののゴリラくんがおじさんの腰から鍵束をぬきとって……
動物たちのオリを次々あけていくから、さあたいへん!
いとうひろしさんが翻訳した、ペギー・ラスマンの絵本。
1996年に日本で出版されて以来、人気絵本の仲間入り。
本書はそのミニサイズのボードブックです。
全体が夜の風景でありながら、ひっそりと色あざやかで、あたたかなイラストが魅力的。
言葉が少なく、絵でお話が展開していく、まさに絵本らしい良さがある絵本です。
おじさんやおばさんのうしろから、動物たちがぞろぞろ一列にならんで歩く様がとても愛らしいのです。
みどころはたくさんありますが、絵のなかにちょっとしたストーリーがいくつも隠れているのもポイント!
たとえばゴリラくんのオリにいたネズミが、バナナを引きずりながらあとをついてきますが……、ネズミはこのバナナをどうするのか? オリにまきついていた風船はどこにいったのか?
何度もくりかえしページをめくりながら、お子さんと、絵の発見を楽しんでくださいね。
お出かけのおともにぴったりの絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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