キリスト教の春のおまつり「イースター」をあたたかいタッチで描いた幼年童話。
「イースター」の早朝、田舎の小さな赤い家で、まだ子どもたちがぐっすりねむっているところからお話がはじまります。
おんどりの声で目をさましたケイティは、兄さんのカールを起こします。
「おきて! うさぎが、イースターのたまごをもってくるところが、みられるかもしれないよ」
窓から顔を出すと、外はとてもいい気持ち。動物たちの声や、遠くの鐘の音も聞こえます。
しばらく待っていると、うさぎが庭にやってきました。兄妹は大声でいとこたちを起します。
「おーい、イースターうさぎがきたよ!」
さあ、子どもたちみんなで「たまごさがし」のはじまりです!
イースターには、うさぎがやってきてたまごを隠していくと言われます。
赤い家はケイティのおばあちゃんのうち。田舎の家での、イースターの一日がほのぼのと描かれます。
いとこや兄さんは次々たまごを見つけるのに、なかなか見つけられないケイティは、ついに屋根裏で美しい絵が描かれたたまごを見つけて大喜び。
子どもたちはおばあちゃんに教えてもらいながら、たまごに絵を描くことにします。
本書は1951年のコールデコット賞受賞作品。アメリカで半世紀以上にわたって愛されている絵本が、福本友美子さんの訳で読みやすい幼年童話になりました。
見どころは、まさにタイトルどおり、子どもたちが作った「たまごの木」。
色とりどりのたまごに糸を通し、木の枝にぶらさげたツリーです。
きれいなたまごをたくさんつるした大きな木を一目見ようと、噂を聞きつけてあちこちから人がやってきます。
この作品がアメリカで絵本として出版された後、イースターに「たまごの木」を飾る家が増えたのだとか。
きびしい冬の終わり、春のおとずれを祝うおまつり、イースター。
おばあちゃんが焼いてくれるうさぎのクッキーや、いとこたちとのたまごさがし。
伝統的なイースター行事と、やさしい色彩が印象的。あたたかい雰囲気が伝わってきます。
ぜひ一度手にとってほしい作品です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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