緑の広場に面して、家が7軒だけ並んだ、ちいさな村にやってきた、白いねこ。
すっかりくたびれておなかがすいていたねこは、7軒それぞれの家で、ちがう名前をつけてもらいます。
最初に出てきた女の人からは「メリンダ」と呼ばれ、次の家では絵筆をもった男の子に「ミランダ」。
そして古いりんごの木がある家では男の人に「ベリンダ」と呼ばれ、スープをくれた2人の女の子からは「カサンドラ」……。
まだまだ名前は増えていきます。
「メリンダ・ミランダ・ベリンダ・カサンドラ……!」
続けて呼ぶと頭がこんがらがりそうですが、ちゃんと白いねこは、7軒みんなの家のねこになって、ちいさな村に住み着き、居心地よく暮らすようになりました。
ところがある日、“どの家でもねこを飼わなくてはいけない”と法律ができて、男たちが村へしらべにやってきました。
この男たちは役人で、1軒ずつまわって、本当に飼っているか調べるというのです。
1ぴきのねこを、7ひきいるように見せられる!?
みんなは顔を見あわせて相談をはじめますが……。
赤色と、緑色でおしゃれに描かれた、ユーモアたっぷりの外国の絵本。
作者のヴァージニア・カールは、1919年アメリカのウィスコンシン州で生まれ、図書館員としてヨーロッパのあちこちを旅し、その後絵本作家となった女性。
シンプルでかわいらしいイラストとユーモラスな物語で人気を博します。
本書は1979年にアメリカで出版された絵本の待望の邦訳です。
「白いねこに模様を描いていく」といういかにも子どもが好きそうな方法で、物語は展開し、その色柄がまたお楽しみのポイント。
模様が増えていくねこが、最後まで役人たちの目をごまかせたのかどうか気になります。
村の子どもたちの、機転の効いた連携プレーも楽しい!
繰り返しの要素や、ちいさな村でくりひろげられるドタバタぶりなど、読み聞かせにぴったりの楽しいおはなしです。
ぜひじっくり手にとって読んでみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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