ふしぎ町のふしぎ通りをひとりの旅人が歩いていると、「ふしぎ亭」と書かれた1軒の小さなレストランを見つけました。
「いらっしゃいませ」と迎えてくれたのは人ではなく、シェフの恰好をしたらいおんとひつじの赤ちゃんをおんぶしたひつじのママ!
驚きながらもテーブルについた旅人に差し出されたのは三冊のメニュー。
白い表紙の〈これが食べたい! メニュー〉
青い表紙の〈思い出メニュー〉
赤い表紙の〈おなやみ解決メニュー〉
このうち旅人が選んだのは白いメニュー。けれども中を開くと何も書いてありません。このメニューを選んだら、これが食べたい!という料理を頭に思い浮かべてメニューをさわると、料理がメニューに現れるというのです。さっそく食べたいものを思い浮かべてメニューをさわるとアボカドのような形をした6個の大きなたまごが浮き上がってきました。いろんな動物のたまごやきを食べてきたという旅人は、恐竜のたまごやきが食べたかったのでした。
さあ、はたして「ふしぎ亭」では、ちゃんと恐竜のたまごやきを作ることができるのでしょうか。
真夜中だけ開くレストラン「ふしぎ亭」。その始まりとなるこちらの第1巻では、らいおんシェフとひつじママ、子ひつじのステラの大きな秘密が明かされます。かつて小さな町で小さなレストランを開いていたふたりは、いつか大きな町で大きなレストランを開きたいという夢を叶えるためにあることを企んだのが魔法使いに見つかり、魔法をかけられてしまったのでした。その魔法を解くために必要なのは、出したお料理にお客様が満足しておいしいと言ってくれること。おいしいと言ってもらえたらポイントが1ポイントつき、それが一万ポイントたまったら魔法がとけるのだそう。しかし一万ポイントってはるか遠い目標のような‥‥‥。さてらいおんシェフとひつじママ、子ひつじがかけられた魔法の秘密とは? そして魔法が解ける日はくるのでしょうか。
作者は「キャベたまたんてい」シリーズが小学生に大人気の三田村信行さん。一度読んだら忘れられない奇妙な世界を描いた名作『おとうさんがいっぱい』を書かれた方でもあります。不思議な奇妙さと謎解き要素、ちょっと怖いような感じが魅力的な物語世界は、ワクワクの楽しさとハラハラの怖さのバランスが絶妙でどんどん惹きこまれてしまいます。ハラハラドキドキしながらも、明るくて親しみやすいあさくらまやさんのイラストに安心感があり、あっという間に物語の世界へ連れていってくれるでしょう。
小学1、2、3年生の子どもたちを夢中にさせてくれそうな不思議でおいしい世界を味わえる新シリーズのスタート!
これからどんなお客さんやお料理が登場して、どんな出来事が待ち受けているのでしょうか。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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