「妖怪なんて本当にいるわけないよ」なんて子どもたちに贈る、妖怪エンターテインメント絵本「ようかいガマとの」シリーズ。とにかく伝承にもとづいた妖怪たちがたくさん登場するので、油断もスキもない絵本なのです。その第3弾ではとうとう「ガマとの」の秘密が明らかになる!?完結編です。
舞台は妖怪が人気のあったという江戸時代。そこに今回登場するのはなんと・・・宇宙人!!
「江戸時代」に「妖怪」と「宇宙人」。なんだかキーワードを聞いただけでも頭がこんがらがってきそうですが、予想を上回るスケールの大きさとダイナミックな展開で物語が進んでいきます。
100年も人間を驚かしてきて、そろそろ飽きてきたとつぶやく妖怪ガマ。
お酒を買いこみ、ぶらりと帰ろうとしたその時!
「タ、タスケテクダサイ・・・」
目の前で倒れているのは、妖怪でも人間でもないいきもの。何者?
「ワレワレハ ウチュウジンデス。 ゼティセイカラ ヤッテキタ。
ゼティセイニ イク フネ。サガシテ ホシイ。オッカサーンニ アイターイ」
暇を持て余していたガマは、その地球に落ちてきた宇宙人の父子をゼティ星に帰してあげるため、別の宇宙人を探すことに!
地球人をさらっていこうとしている宇宙人を捕らえたり、盗人を襲っている宇宙人に話しかけて光線で打たれそうになったり、立派な牛に夢中になっている宇宙人に気づいてももらえなかったり。
江戸の街には結構宇宙人もいるようです。そのインパクトの大きさは妖怪と変わりません。
なかなかゼティ星の宇宙人が見つけられないガマたちが、お城に忍び込むと捕らえられてしまい・・・。
その後の展開で、思わぬところで今の時代につながってきます。「ガマとのさま」と呼ばれるようになった由来もわかります。
見返しには、登場する妖怪と宇宙人の解説があり、そんなものたちが大好きな子どもたちを大いに喜ばせてくれます。学校で、帰り道で、家の中で。どこかで会えるといいね。妖怪も宇宙人も。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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