妖怪好き、猫好きよっといで〜。
とんでもない「ばけねこ」たちが競演する最高にクールな絵本の登場だぜ!
ある晩、主人公のオレは「ばけねこ」と化した飼い猫のトンに忠告されちまう。いつも猫をいじめてるオレにみんな怒って襲いかかるっていうんだ。なんでも猫はみんな本当は化け猫なんだっていうじゃないか。
「このままだと やばいぜ。
おれに ついてこい。」
大きな満月をバックに緑のスカーフをなびかせ、オレにそういうトンはとんでもなくカッコいい。なんだかわからないけど、化け猫トンのあとについて外にでてみると・・・
でた、でた、でた〜。
化け猫がでるわ。でるわ。でるわ。次から次へ。
でっかいピンクの肉の塊みたいな「ぬっぺふほふ」ならぬ「にゃっぺふほふ」から「ぶるぶるねこ」、「うみぼうず」じゃなくて「ねこぼうず」。観音開きのページを開けば、『画図百鬼夜行』『百怪図鑑』のような妖怪絵巻からとびだした妖怪たちが練り歩いてるからおったまげたよ!
しかもみーんな猫バージョンの妖怪たち。そこへ睨まれただけで失神しそうな黄色い大きな目がギョロリ!!とうとう、「ばけねこ」たちを牛耳ってる親玉に見つかっちまった。オレ、どうする?どうなる?大、大ピンチのオレの前にトンが勇敢にも飛び出した!
なんともユニークな妖怪絵本。
正確には妖怪化け猫絵本?石黒亜矢子さんが描くスタイリッシュで刺激的な絵本です。歌川国芳を彷彿とさせる浮世絵のような、迫力があるのに繊細な和のタッチ。開いたページは、海外のグラフィックノベルを思わせるパンチのきいた構図で、まるで切り取られた一枚絵を思わせる美しさ。和洋折衷の表現が新しくも懐かしい不思議な気持ちを呼び起こします。そして、「ばけねこ」の時も普通の猫の時も愛くるしいトンちゃんにすっかり虜なってしまうのです。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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