ナチスのユダヤ人迫害ホロコースト(大量虐殺)
上の子が、第2次大戦中の話が読んでみたい。特にヨーロッパの話。という難しい注文を出してきました。
どこがどう難しいかというと、「戦争物」の文学は、選択を間違えると子どもに恐怖しか与えないんじゃないかと、私自身が感じているからです。
きちんと戦争のことが伝わってくるもので、難しすぎず、かつ読んだ後に重くならない作品。
色々考えて、この作品をさがしてきました。
自分的には大正解だったと思いました。
これは作者の自伝ですが、決して悲しいドラマ仕立てにしていません。
それでいて、きちんとナチスドイツのユダヤ人迫害についても、
当事者の子どもの目線で、
しっかり伝えてくれている物語でした。
「ゲットー(ナチスドイツ軍がユダヤ人たちを収容していた強制隔離地区)」や「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)」など、ナチスドイツの代名詞ともなる言葉が頻繁に出てきますが、
作者=主人公のぼくは、
弟と「戦争あそび」などしながら子供らしくありつづけ、
実際身近に起きている戦争の出来事は、
まるで夢でおきている事のように語っていきます。
(それでも事実はキチンと描写してくれていますが)
中でも本当に命の危険にさらされたことがあり、その時「ぼく」は弟に「そうだよ。夢なんだよ」と答えています。
この時のことは本書の中で、「冒険談」として短くまとめてあります。
また、何箇所か移動したゲットーの中で、
「ぼく」は、あのアンネ・フランクのいた収容所=ゲットーの隣(の収容棟)にいたことがあったそうです。
偶然というのは不思議なものですね。
この作品には副題として「ぼくと弟のホロコースト」とあって、
翻訳者は後書きで、外国人ジャーナリストに質問された時の作者の言葉を記してくれています。
「あなたにとって『ホロコースト』はホロコーストにすぎないでしょうが、私にとって、それは、子ども時代でした」
この一文は作品のすべてを語ってくれています。
うちの下の子は少し前に「アンネ・の日記」を読んで、感動したといっていました。
この作品も「アンネの日記」共々小学校中学年くらいから高校生くらいの子どもたちに、ぜひ読んでもらいたい素晴らしい作品です。
子ども目線で、大変読みやすく描かれています。
また、「アンネの日記」だと、男の子は読みずらい面をあるでしょうが、こちらは男の子が主人公なので、男女ともに手に取りやすいと内容になっています。
有名な歌に「戦争を知らずにぼくらは育った」というフレーズがありますが、
世界を巻き込んだ戦争について、実体験していない我々子育て手世代、現役の子どもたちが、
「知らなかった戦争」に触れるきっかけになるきっかけになるのではないでしょうか? (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子14歳、女の子9歳)
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