「ぼく」から見ると、おおじいじは、ものすごく年寄りです。
だから「もうすぐ、しぬの?」なんて聞いちゃいます。
でもおおじいじは「しんだあとも ずっとおまえのそばにいるよ やくそくだ」って。
だから安心してぼくはおおじいじと遊びます。
おおじいじのやることはおっかしくて、でもちゃんと訳があって、おやつ作りの天才で。
ぼくはおおじいじが大好き。
ある日、「おおじいじが ねむっているあいだに しんじゃった」ってママとじいじに聞かされます。
おおじいじに二度と会えない。すごくへんな気持ち。
ぼくは、庭に出て、ひとりで夜空を見上げます。
月を見てたら、きゅうに「ブルルルッ!」っておならがでちゃった。
そのとき思い出した、おおじいじとぼくの間の、ひみつの冗談。
あっこれはおおじいじだ、ぼくを見ててくれるんだ、そう悟った瞬間、男の子は空にむかって手をふるのです。
ベルギー在住の作家スティバンヌの、日本初翻訳作品。
自身の孫と曾祖父(スティバンヌの父)との間の出来事をもとに描かれたお話だそう。
スティバンヌはかつてマンガ家として活躍していたそうで、絵はフランスのマンガのようなシンプルで表情豊かな線で描かれ、印象的です。
大好きなひとは死んでしまったけど、会えなくなっても、お互いだけに通じる「合図」で呼びかけ合うことができる。
でもその合図が「おなら」だなんて!?
おかしくて、男の子の喜びがまっすぐ伝わってくるラストシーンに、じーんと胸を打たれます。
読むたびにじんわり重みを増していく「いのちと、いのちの関係」を描いた絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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