みんなが持っている名前。
名前って、生まれた時に自分で自由につける訳にはいかないんですよね、当たり前ですが。
だからこそ「あんな名前がよかったのに」「この名前は恥ずかしい」「すごくお気に入り!」・・・なんて、それぞれが、色々な事を思ったり考えたりしたエピソードを持っているのではないでしょうか。
でも、違う言い方をすれば、名前というのは誰かが一生懸命考えて付けてくれた“贈り物”のようでもあります。
この絵本の主人公、しげちゃんは、男の子の名前みたいな自分の名前を嫌ってみたり、違う名前を考えてみたり、でもお母さんに言ってみてから泣いてしまったり。そして、お母さんに“滋”という名前に込められた願い、思いを教えてもらい、自分の名前が大好きになるのです。ご存知のとおり、現在では女優“室井滋”として大活躍されています。きっと、このやりとりは、室井さんにとっても宝物のようなエピソードなのではないでしょうか。
長谷川義史さんが描く絵本の中のしげちゃん。勝気で、独創的で、ちょっぴり繊細で・・・でも前向き。
今の室井滋さんの魅力のルーツがそのまま閉じ込められているようで、とても愛着がわいてしまう一冊です。
そしてやっぱり室井さんは“滋”という名前だからこそ、輝いているのでは?なんて思わせてしまうから、
名前って不思議です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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