わたし、小学3年生のしげちゃん。
新学期が始まり、クラスの子の名前を覚えたころ、転校生がやってきた。
色白でやせてて、ニコニコしてる男の子。
名前はサエちゃん。
大阪から引っ越してきたサエちゃんは、「おおきに〜」「ほんま〜」とか、ちょっとへんな言葉を話す。
しげちゃんは、クラスの子たちにからかわれるサエちゃんを心配したり、勉強の方法を教えてあげたり……。
サエちゃんが気になるしげちゃんだけど、サエちゃんは持ち前の明るさでだんだんクラスの人気者に。
それを見てモヤモヤしたり、知らんぷりしたくなる、しげちゃん。
ところが、サエちゃんは急に学校に来なくなって……?
多彩な才能で、映像・舞台や本の世界で活躍する室井滋さんと、人気絵本作家・長谷川義史さん。
おふたりのコンビでおくる「しげちゃん」シリーズ第3弾です。
気になる子に出会ったときの揺れ動く感情。
かけがえのない2人のひととき。
そして、別れが描かれます。
作者の室井滋さんによると「絵本の中に、『サエちゃんて、ちょっとバカなのかも』としげちゃんが思う場面がありますが、私自身ここがとっても気に入っています」だそうです。
なんだかリアル……!
「素敵! 好き!」と思うより、ただサエちゃんが気になって、自分のことも変じゃないかと気になって……。
“恋”のはじまりって、そんなものかもしれません。
「しげちゃん」シリーズを読んでいたら「あのしげちゃんが恋を!?」とじんわり。
長谷川義史さんが描く、小学3年生のしげちゃんとサエちゃんの表情が味わい深く、じっと見入ってしまいます。
ドキドキして、人生の切なさも感じて……「小さかった赤ちゃんにも、いつかは初恋が訪れるんだな」と感慨深くなってしまいました。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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