カラスの子スッカラ。目を覚ましたら、母さんカラスがどこにもいない。
慌てたスッカラ、母さんカラスをあちこち探す。
涙をこらえて聞いてみる。
「ぼくの かあさん どこですカァ〜?」
ちょっと切ない状況から始まるこのお話。
(目が覚めたら母さんがいない!こういう心細い経験は皆さんもありますよね)
だけど何だか可笑しくなっちゃうのは、どうしてなのでしょう?
スッカラは、母さん探しの旅先で出会ったねこやトカゲ、空き缶にまで聞くのです。
「ぼくの かあさん どこですカァ〜?」
スッカラは考えます。ちゃんと相手の言葉で聞かなくちゃ。
「ニャーン ニャニャーン ニャニャニャニャニャーン?」
「カラン カラカラ カンカラカン?」
スッカラは真剣ですよ。
空に浮かぶ雲にも、ひつじにもカエルにも。渚ではねる魚にまで聞いてみます。
けれどもなかなか情報をもらえないスッカラ。無事に母さんに出会えるのでしょうか…。
スッカラの愛嬌は言葉だけではありません。
版画で描かれた、一生懸命母さんを探すスッカラの姿はとっても可愛いのです。
涙が流れるのを我慢する表情、相手に合わせた言葉を全身で表現する姿、そしてやっぱり最後の場面。
まわりの美しい背景や、再び出会うねこもいい味を出していますよ。
声に出して読みたくなる、繰り返しと言葉遊びが楽しい版画絵本。
何度でも、スッカラと一緒に母さんカラスを探しに出かけてみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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