図書館の屋根裏部屋をねぐらにする、こうもりのぼうやは、おかあさんといつもいっしょ。
夜は虫をおなかいっぱいたべ、明け方になるとねぐらへ帰ります。
ある日、屋根裏部屋のちいさな穴から笑い声が聞こえてきて、ぼうやは目をさましました。
穴からのぞくと、たくさんの子どもたちと、女の人がいました。
女の人は「3びきのくま」のおはなしをはじめました。
ぼうやはおはなしにひきこまれます。
もっと近くで聞きたいなあと言うぼうやに、おかあさんは言います。
「にんげんに ちかづいちゃ ダメよ。あぶないわ!」
あるとき、おはなしに夢中になりすぎて、ついに屋根裏の穴から落ちてしまったぼうや。
子どもたちは悲鳴をあげ、女の人に追い払われ、こうもりぼうやはおかあさんのもとへ逃げ帰ります。
あきらめられないぼうやに、おかあさんはこう言うのです。
「だいじょうぶなときが きっとくるわ。そのときになるまで じっと まつのよ」
・・・さて、「そのとき」ってどんなときでしょう。
タイトルを見たみなさんは、きっともう想像がつきますよね?
春から夏、そして秋、晩秋へ。
この絵本は、うつろいゆく季節とこうもり親子の日々を、ていねいに描写しています。
見どころは「そのとき」を待ちわびるぼうやと、愛情たっぷりに見守るおかあさんの表情かもしれません。
親子が身をよせあい、見つめ合うシーンは、思わずほっと心がリラックスするほど、癒されるワンシーン。
いつのまにか読んでいる私たち(子どもたち)も、こうもりのぼうやとおかあさんの気持ちになって身をよせあい、やさしい顔で絵本をのぞいている・・・。
そんな、あたたかなひとときが訪れる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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