ふくは、大地震と津波、原発事故で人間が住めなくなった福島の町で保護されました。縁あって聴導犬くんれん士のれなさんと出会い、くんれん生になったのです。耳の不自由な人の生活をおてつだいするのが聴導犬の仕事です。人なつっこくて、大きな音にも動じないふくですが、はたしてぶじ聴導犬になれるでしょうか――。
被災地で保護された子犬が聴導犬としてのスタートを切るまでのお話。
聴導犬になってからのお話ではなく、この、「スタートを切るまでの」お話というところがポイントですね。
震災後の街が復興していく道のりと重なり、考え深かったです。私たちが普段、新聞やテレビで目にするのは復興途中にある被災地の状況や人々の様子。でも、本当は復興のスタート地点に着くまでの苦悩、試行、努力があるわけですよね。。そのことが、トレーナーのれなさんから子犬ふくへの粘り強いトレーニング描写から読み取れ、諦めずに根気強く続けていくことの大切さを教えてくれました。
また、誠に恥ずかしながら、この本を通して初めて「聴導犬」の存在を知りました。盲導犬はよく聞くようになっけど、聴導犬?と、最初はハテナでしたが、調べてみると日本では2016年時点で70頭に満たないんだとか。まだまだ認知度は低く、存在自体の概念さえ無い方が私以外にもいらっしゃるのではないかと思います。この本から、聴導犬の存在そして世間の理解という本当のバリアフリーが拡がるといいなぁ、と思います。
是非、ふくがカッコいい聴導犬になった姿も描いてほしいです(^^) (いちなさん 30代・ママ 男の子5歳)
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