森の中に立つ三角屋根の一軒家。それがマギマギの家。
ある朝、部屋の中を覗いてみると、マギマギがお茶をリュックにつめています。おでかけかな?
リュックをしょって外へ出たマギマギが向かったのは川。真っ赤なボートにのって出発します。
どこへいくのかな?
川を下る途中で釣りをしているペンギン、木の実を食べているリスに出会って
「おはよう」と声をかけるマギマギ。友達なのかな?キツツキやナマケモノにも出会いますよ。
さて着いたところはどこ?
何だかとっても落ち着く場所、ここで一日過ごすのかな?
ほとんど文章のないまま場面が進んでいくので、
マギマギがどこに向かっているのか、一日過ごした場所がどこなのか、
最後にマギマギが手紙を書いている相手は誰なのか、はっきりとはわからないので、
想像力をフル活動しながらストーリーを楽しむちょっと不思議な雰囲気の絵本です。
でも、マギマギがウキウキしているのは間違いなく伝わってくるし、
キツツキとすごく友達なのもマギマギの部屋をよく見れば一目瞭然だし。
自然にストーリーが浮かびあがってくるこの感じ、ちょっと新しい感覚です。
空気を思いっきり吸い込みたくなるような気持ちのいい朝の景色、
真っ赤な色がかっこいいボート、ため息が出るような素敵な部屋・・・
ゆったりと描かれたそれらの絵を背景に、マギマギと一緒の気ままな時間が過ぎていきます。
何も起きていないようで変化している一日、川辺の友だちをよく観察しているとわかるのもまた面白いのです。
(特にリスとペンギン、可愛すぎます!)
読む人が色々と思いをめぐらせる、読む人によってストーリーが変わってくる、
こんな絵本もあるんだな、読み終えたあとにしみじみ。誰かと語りたくなってきちゃいますね。
さて、マギマギのことが気になって仕方がなくなってきました(笑)。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む