ファンタジックな魅力たっぷりの絵本。
道を歩いていくのは、ふくろうのような大きな目、鳥みたいな足と口、変な耳、長ーいしっぽで……。
背中のかばんから本をのぞかせ、さらに手に本を持つ、何だかわからないもの。
うさぎの子は「かいぶつだ!」と思います。
かいぶつのしっぽの上で小さな生きものが「おいでおいで」をするのを見て、うさぎの子は追いかけます。
川の飛び石をわたって、森の中へ踏み込んで。
おや、かいぶつは、光が射す、苔におおわれた木の根元に入っていきました。
階段をおりると……扉があって……。
ギィィ。
読者も、うさぎの子と一緒にドキドキしながら扉を押す気持ちでページをめくると……。
そこに広がっていたのは素敵な書庫!
丸く円を描くように並べられた本棚、色とりどりの背表紙、やわらかそうなクッション……。
「ようこそとしょかんへ!」と、かいぶつは腕を広げて迎え入れます。
うさぎの子が驚いたことには、うっかりひらいた本から、「ボボボボボー!」と妖怪みたいないろんな生きものが出てきて、大暴れ!
ここでは本の中の住人たちが、本から出たり入ったりして遊んでいるんですって。
しかも書庫の向こうには、さらにもうひとつの空間があって、幻想的なあかりが灯る木や、池もあるんです。
誰も彼もが自由に生き生きと過ごす、摩訶不思議な図書館。
一匹一匹の姿をじっくり眺めるだけで面白いです。
想像の翼を広げ、たっぷり絵を味わってくださいね。
幻想的な世界観に魅了される、ふくいりえさんのデビュー作です!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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