日曜日の朝、仲良しのこうさぎのぴょんこのうちに遊びにいくことにした、こぐまのくう。
あかるい林の中をたったか走っていると、きれいな赤い花を見つけました。
「ひゃあ。かわいいなあ」
ぴょんこちゃんに持っていってあげようと、思わず花を折ったくうは、
「いやーん」
悲しそうな声にふりむいて、びっくり。
ぴょんこが花を指さしています。
「ひどーい。それ、あたしのよ。あたし、さくのを、ずっとまってたの。それにさ」
それきり黙ったぴょんこの目から涙が流れだし、ふりはらったぴょんこの手は、くうの差し出す花にあたって、赤いはなびらがはらはらとみんな落ちてしまいました。
くうのしょんぼりした気持ち。
通りかかったきつねの子たちにひやかされて、頭はごちゃごちゃ、胸はつめたくて、さむい感じ。
すれちがった気持ちをどうしていいかわからない、むしゃくしゃとさみしさが、丁寧に描かれています。
でもね、2人の気持ちは、すれちがったままだったでしょうか?
いえいえ。「くうちゃん」「ぴょんこちゃん」とお互い名前を呼び合うだけで、顔を見ただけで、わかってしまう「ごめんね」と「ありがとう」。
最後は、くうをひやかした子ぎつねたちも加わって、みんなで遊ぶいい日曜日だったそうですよ。
あまんきみこさんのやさしい語りと、黒井健さんが描くかわいい動物たち、あかるい林の風景に、ほんわか癒される「なかなおり」の絵本。
くうとぴょんこの気持ちをそっと後押ししたのは・・・本を読んでのお楽しみ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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