ゆめちゃんはクレヨンでおかおを描くのがだぁーいすき。
冷蔵庫、ティッシュのはこ、テレビ、スリッパにも。
部屋じゅうのものにおかおを描くから、おかあさんにおこられちゃった。
ゆめちゃんはクレヨンをポッケに、家をとびだして
道路や郵便ポスト、電信柱に、おかお、おかお……。
おまけに、顔がないおじぞうさんにまで描いてあげちゃったから、さあたいへん。
「こらぁ! かお かいちゃだめだろ!」
和尚さんに思いっきりおこられてしまいます。
ちょうどそのとき、竹やぶのおじぞうさんの後ろからぬるーんと顔をだしたのっぺらぼうや。
ゆめちゃんが口を描いてあげると、お団子がたべられ、
目を描いてあげると、さらにおおよろこび!
のっぺらぼうやにくっついて長いトンネルを抜け、おばけ村にやってきたゆめちゃんは……?
日本児童文学者協会・童心社共催の「絵本テキスト大賞」第六回受賞作。
本作がデビュー作となるスマさんの文章には、ページを次々めくりたくなる勢いがあります。
アニメーション作家であり絵本でも活躍中の山村浩二さん描く、素朴なタッチが軽やか。
草木もおばけもゆめちゃんも、たった今、山村浩二さんの指先から生み出されたばかり、といったお茶目な線が感じられます。
ろくろっくびのくびにまたがって、おかおを描くゆめちゃん、楽しそう!
子どもはみんな、らくがき大好き。おかおを描くのが大好きですよね。
“いーっぱい、おかおを描いてみたい”
そんな夢を、ゆめちゃんがかなえてくれますよ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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