世界中の人々を今もなお魅了し続ける「ピーターラビット」の世界。
その愛すべき主人公たちの生みの親、ビアトリクス・ポターの貴重な日記が、しかけ絵本になりました。
『ピーターラビットのおはなし』の誕生に隠された著者自身の物語。
それは彼女が生み出した物語以上に独創的で、愛情に満ち溢れたものでした。
子ども時代から好奇心旺盛で、昆虫から小動物、菌類の生態を観察してはスケッチする日々。
なんとコウモリまで飼っていたなんて!ビアトリクスの知的好奇心には驚かされてしまいます。
人よりも病弱だった彼女を奮い立たせていたのは、大好きな絵を描くこと。
ビアトリクスは、どんな環境になろうと絵を描くことを決してあきらめませんでした。
このしかけ絵本は、ポター一家の家系図から始まり、当時にしては珍しく残っていた数多くの家族写真をおさめたアルバム、避暑地として訪れていた大自然の風景や弟のために描いた動物のスケッチなど数多くの思い出の品から、
まるでその時代の彼女の様子が手に取るようにわかります。
ビアトリクスの日記を読み進めると、身近な人物や飼っていたペットが、後に彼女が作り出すお話のモデルになっていたり、彼女が日々何に感動して、何を愛しく思い、創作活動に励んでいたのかを感じることができます。
そして、しかけ絵本の一番最後のページの隠し扉を開くと、
彼女が初めて書いた『ピーターラビットのおはなし』の自費出版本(英語)が!
ビアトリクスとピーターラビットの数々のエピソードを胸に刻んだ後、この小さな絵本を手にとるとその感慨もひとしおなのです。女性作家として、また自然や動物を愛する一人の人間として時代を切り開いた彼女の人間的な生き方を知る事ができます。
贈り物としておすすめの1冊です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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