ソウタは今日もひとりでブランコをこいでいます。
足が遅くて走るのが苦手なソウタは、オニごっこで皆の仲間に入れないでいるのです。
「ぼくも はやく はしれたら たのしい だろうなあ。」
ソウタはそっと目を閉じます。
するとそこに現れたのは、暗い夜の町。
オニの子どもたちが、ソウタを「カゼオニ」というオニごっこに誘います。
オニたちを追いかけて走るソウタは、
はやい、はやい、はやい・・・!
屋根も、川の上だって、まるで風のよう。
この町では信じられない速さで走れるのです。
ソウタとオニたちの「カゼオニ」の勝負、いったいどうなるのでしょう?
この作品のみどころは、なんといっても夜の町を駆け抜ける爽快感。
シャッターの下りた夜の街並みと、鉄塔や団地、川沿いの風景にも、気持ちが高まります。
オニとソウタが鉄塔から空を飛ぶ場面は、まるで映画のワンシーンのように迫力満点!
走るって気持ちいい! 読み終わったら、どの子もすぐ駆け出したくてウズウズしてしまうことでしょう。
走るのが大好きな子にも、走ることにコンプレックスを持っている子にも手にとってほしい絵本です。
本を開けばいつでも、オニたちが走る楽しさいっぱいの世界へ連れて行ってくれますよ。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
続きを読む