なおくんのおかあさんは、いつも、アニメのキャラクターや動物ですごいお弁当をつくってくれます。
なおくんは毎回、お弁当のふたをあけるのがとても楽しみ。
友だちもいつもおどろいて「すごい!」といいます。
あしたは、待ちに待った、遠足。
「あ〜、たのしみやな〜。あしたは、どんなおべんとうをつくってくれるんやろか」
でもなおくんが家に帰ると、ソファにおかあさんが横になっていました。
ぐあいがわるく、熱があるようです。
「しんぱいせんとき。すぐにげんきになるから。あしたのえんそくのおべんとうは、たのしみにしててや」
そうおかあさんはいうけれど、夜になっても熱は高いまま。
出張先のおとうさんから電話がありました。おかあさんは「だいじょうぶ」といっています。
なおくんには、だいじょうぶそうにみえません……。
なおくんは、かんがえました。
“あした、きっとおかあさんは熱でフラフラしていても、ぼくのためにきっと早起きしておべんとうをつくってくれる。
けど、ぼくはおかあさんにげんきになってもらいたい。どうしたらええんやろ。“
さあ、なおくんはどうしたでしょう?
子どもの心に寄り添うお話を書かれる、くすのきしげのりさんならではの作品。
子どもの行動だけをみて、「あぶないことしたらだめじゃないの!」
「こんな時間に、だまってひとりで出かけるなんて!」と叱るのはかんたんです。
でも、子どもがせいいっぱい心で考えたことの大事さを、本書はハッと気づかせてくれます。
なおくんの行動を知った、おかあさんとおとうさんは?
なおくんのおべんとうを見た、友だちは?
伊藤秀男さんが描く人々は、画面からあふれ出しそうな存在感。お弁当の迫力にも注目です!
“もし、じぶんだったら、どうするだろう?”
絵本を読みおえたとき、いろんな気持ちが心に残ります。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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