毎日、保育園に通うぽっこちゃん。
朝、おかあさんとバイバイするときはいつも涙が出ます。
先生が抱っこしてくれても、だめ。
だから夕方、お迎えに来てくれると…「おかあさん」!
大好きなおかあさんに、まっさきに飛びついちゃうんです。
そんなある日ぽっこちゃん、保育園のお庭で遊んでいたときに「いいもの」を見つけました。
大切にポケットにしまって待ちわびる、お迎えの時間。
「おかあさん おみやげ」
手にのせたのは…青く小さな柿の実。おかあさんはパッと笑顔になりました。
「かわいい。ありがとう」
おかあさんの笑顔が見たくって、ぽっこちゃんは毎日おみやげをあげるのが楽しみになりました。
「いってらっしゃい」
いつの間にかぽっこちゃん、朝、泣かずにおかあさんとバイバイできるようになっていたのです。
だいすきなお母さんを見送る瞬間、あふれ出ちゃう気持ち。
きっとこれから楽しい一日が待っている、心のどこかでわかってはいるんだけど「バイバイ」の一瞬だけは、どんなものにも変えられないさみしさ。
そんなわが子の涙に後ろ髪を引かれながら、目の前にある現実へと向かわなくちゃならないお母さんたちもまた日々、葛藤しているんですよね。
柿の実とともに移ろう季節の中、やわらかでまばゆいぽっこちゃんの成長を描かれた作者のささきみおさんは、ご自身も3人のお子さんを育てられているお母さん。
お迎えの時に息子さんが柿の実をおみやげにくれた実体験が、この絵本制作のきっかけとなりました。
わが家の娘もあと半年で保育園を卒園。
度々くれる「おみやげ」は、申し訳なく思いつつ、サヨナラしてしまうことも多いけれど、
差し出す小さな手のひらの感触と、ちょっと誇らしげに笑う表情は、いつまでも子育ての大切なたからものになりそうです。
(竹原雅子 絵本ナビ編集部)
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