古だぬきのだいごろうは、自分以外は「自分が化かすためにいるんだ」と、誰のことも信じないで生きてきました。
そんなある日、道に迷ったりょういちに出逢います。
りょういちは、とにかく素直。
どんなことも信じる、純粋で真っすぐな少年です。
そんなりょういちを化かしてやろうと、だいごろうは聞きました。
「おい おまえがほしいものを いってみな」
するとりょういちは……
「にじが いい」
に、にじ!? いくらだいごろうでも、にじに化けるのは体がもちません。
そこで、だいごろうはりょういちを騙すことにしました。
「100えんで にじを おまえに うってやろう」
こう言えば、貧しいりょういちはあきらめるだろうと思ったのです。
けれど、りょういちは、その日から毎日お母さんのお手伝いをして、5円ずつだいごろうに持ってきました。
そして100円になった日、だいごろうは……。
『おこだでませんように』『ともだちやもんな、ぼくら』など、子どもにも大人にも、深いところで「気づき」を与えてくれるくすのきしげのりさんの作品。
本作も、「信じること」「信じてもらうこと」「信じてもらった気持ちにこたえること」という大切なことを、物語を通して語りかけてくれます。
ひとつ気にかけたいのが、お子さんが「100円」と「5円」の概念を理解できているかな?ということ。
ちょっと「???」という感じでしたら、ぜひ……一度、5円玉を100円分(20枚ですね!)並べて、100円というお金の価値(「100円は、お菓子1個買えるぐらいだよ、5円を20枚集めると100円になるよ」など)について、話してみてください。
物語への理解が深まるだけでなく、貨幣について学ぶきっかけにも、なるのではないでしょうか。
(洪愛舜 編集者・ライター)
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