のねずみくんはさんぽが好き。
ある日、いいにおいの風をあじわいながらとことこ歩いているところで、「あれえ? なにかわすれものしなかったかな?」と気づきます。
ぼうしを忘れたことに気づいた、のねずみくん。
急いで家に帰ると、どこからか、「ずんだだ……ずん……ずん……」楽しい音が小さく聞こえます。
「どこからだろ?」と耳をすませますが、わかりません。
あきらめてまた出かけ、のねみちゃんと楽しく遊んだのねずみくんでしたが、のねみちゃんを連れて家に帰ってくると、また「ずんだだ……ずん……ずん……」。
のねずみくん、ちっとも家にじっとしていないから、自分の家の下にだれかが住んでいるなんて、知らなかったんですね!
「とん こと とん!」
ためしに床をノックしてみると、あらわれたのは……!?
末崎茂樹さんが描く、繊細で心地いいタッチの絵で、のねずみくんのほのぼのした生活が描かれます。
野原や木々の間を吹く風が伝わってきそうな、自然の風景も素敵!
ノックのあとにあらわれた、「おとなりにひっこしてきたばかり」の動物は、さらに絵の世界を広げてくれます。
土のぬくもりを感じるような絵本の中のおうち、遊びに行ってみたい!
おとなりさんの家の戸をとんとんってノックして、お茶によんだり、散歩に誘ったり……。
そんな暮らし、あこがれちゃいますよね。
のねずみくんも、あたらしいおとなりさんも、ほら、とっても嬉しそうですよ。
『のねずみくんのたねまき』につづく、のねずみくんのおはなしシリーズ。
武鹿悦子さんが書くおはなしと、末崎茂樹さんが描く絵の、オノマトペ豊かな優しい世界を、親子で楽しんでくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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