シロクマくんはちいさいけれど、いろんなことを知っています。
おいしい魚のつかまえかたも、氷のすべりだいのたのしさも。
だけど、知らないことだって、もちろん、たくさんありました。
「ねえ、かあさん。雪って、どこからくるの?」
シロクマくんの疑問に、ていねいにこたえるかあさんですが——
「どうして雪は白いの? どうしてシロクマは白いの?」
わからないこと、ふしぎなことがつぎつぎと思いついて、止まらなくなってしまったシロクマくん!
「それは、えーっと……白だと決まっているからよ」
かあさんだって、なんでも知っているわけではありません。
シロクマくんのなぜなぜ攻撃に、かあさんもだんだん、困ってしまいました。
でも、どんなときにきかれたとしても、自信を持ってすぐ答えられる——そんな質問があるんです。
「ねえ、かあさん。もしぼくが青くても、それでもかあさんはぼくのこと、好き?」
「おさかなちゃん」シリーズや、「リッキ」シリーズで知られる、ヒド・ファン・ヘネヒテン作。
すなおで、好奇心旺盛なシロクマくんと、やさしいかあさんとのやりとりがほほえましい作品です。
あなたがただ、あなたである、ただそれだけであなたことが好き。
子どもに対するそんな親心をストレートに描いた本作では、子どもたちがシロクマくんに自分を重ねて物語を楽しむ以上に、読み聞かせをしている側がシロクマくんのかあさんに感情移入してしまうはず。
クライマックスではおもわず、ギュッ、と抱きしめたくなることまちがいなし!
そして、シロクマくんのおかあさんみたいに、おっきな声で伝えてあげてください。
「あなたのことが、だいだいだーいすき!」
親子のコミュニケーションツールとしてもオススメ。
読み聞かせに最適な一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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