「いってらっしゃ〜い!」
と、ひとりだちするお兄さんをお母さんと一緒に見送る、クジラのマーヴィー。
自分も大きくなって、大きな海に出たならば、どんなことをしようか?
「おんがくが きこえる うみが いいな。」
「にぎやかな うみで くらすのも おもしろそう!」
と、思いを巡らせます。
まだ見ぬ世界にワクワクしながらも、ふと不安になるマーヴィー。
そんなときは、身近な大人がやさしく声をかけてくれます。
自分は何になるのか? どんなことをしたいか?
子どもたちは、自分とマーヴィーを重ね合わせて、一緒に冒険を楽しむことでしょう。
いろんな選択肢のある未来に、夢が広がるはずです。
作者は、画家としても絵本作家としても大活躍中のH@Lさん。
明るい色彩で温かみのあるイラストは、どこか懐かしい雰囲気があります。
大人も童心に帰って楽しめますね。
「うみは ひろい。うみの そこも はしっこも、じぶんで みにいってみると いい」
これは、マーヴィーが海で出会ったおじさんクジラのセリフ。
こんな風に子どもの背中を押せる大人でいたいものです。
マーヴィーにとって、お母さんと離れるのは、まだもうちょっと先。
だからこそ、今親子で一緒にいる時間がとても貴重なのだと感じることができるおはなしです。
(出合聡美 絵本ナビライター)
続きを読む
『何にでもなれる!どこにでも行ける!』
独り立ちするお兄さんの姿を見て、くじらのマーヴィーは、自分は何になろうかと夢想します。
音楽の聞こえる海で歌手。賑やかな海でアイドル。混雑する海でおまわりさん…。
いろんな海を渡り歩くのもいいかも…。まだ見たことがない、様々な景色を見て回ったり…。
「おおきなうみ」は、永遠に広がる人生を、「ちいさなマーヴィー」は、そこにこれから踏み出していく子どもたちをあらわしています。
マーヴィーがこれからの自分像や広い海を想像するように、「挑戦すれば何にでもなることができるし、大きな世界が待っている」という
子どもたちの持つ無限の可能性をテーマとした絵本です。
マーヴィーが色々な未来像を思い描きながらも、まだ独り立ちできない姿は、読者である子どもたち自身に重なります。
また、子どもたちの可能性を示唆することで、我が子のこれからの成長が楽しみな親の共感まちがいなし!
著者のH@L(ハル)氏は、1976年 大阪生まれ。ディズニー版画フェア ディズニーのイラスト書き下ろし、日テレ『おしゃれイズム』のスタジオアートなどを担当。2008 第24回ニッサン 童話と絵本のグランプリ 絵本部門 大賞を受賞し、『モイモイのポッケ』(BL出版)で絵本デビュー。百貨店やギャラリー、カフェでライブペインティングを行うなど多岐にわたり活動中。前作『とらきちのいいところ』(フレーベル館)は、中国、韓国、台湾とアジア圏で人気を博し、中国の版元・東方出版社の2020年の出版目録の表紙を飾っています!
大きな海に漕ぎ出す小さな帆船のように、子どもの無限の可能性を描く物語を、親子一緒に楽しんでもらいたいと思います!
続きを読む