たのしいたのしい夏休み!
あれもしよう、これもしようと、胸おどる計画がたくさん!
でも、そんな夏休み最初の日、ぼくは親友とケンカした──
ほんのささいなきっかけではじまったケンカは、いつしか取っ組み合いの大ゲンカに!
たのしいはずの夏休みは台無しです。
もしかして、ぼくは夏休みのあいだずっと、ひとりぼっちなのかもしれない。
不安で眠れぬ夜のこと、窓の外からふしぎなリズムが……
トントコトトン、トントコトトン──
リズムにのって踊っていたのは、ふわふわ、もこもこ、しゃべるこぐま!?
「ここにとめてくれないかい? 家出して、行くところがないんだ」
どこからともなく現れて、奇妙なダンスをおどるこぐま。
しかも、まるでオバケのように、ゴウ以外の人間にはその姿が見えません。
生き物なのか? 妖精なのか? まるでナゾの存在ですが、本作のみどころはもちろん、そんなこぐまの愛すべきキャラクター!
オセロに負けては本気で悔しがり、勝てばおおよろこび!
友だちとの仲直りについてあれこれと指南するわりに、自分もお兄ちゃんとケンカ中……
なんにでも興味しんしんで、音楽を愛し、そして空想あそびが得意です。
「こんなことができたらって、考えるのはすごく楽しい。力がわいて、ふうけいが、きらきらかがやいて見える」
そんなこぐまとのふれあいをへて、不安でいっぱいだった夏休みも、なんだか楽しくなってきました。
ところが、ザリガニ釣りに出かけたある日、ケンカした親友とばったり出くわしてしまって──
意地の張り合いで長引いてしまう、いさかい。
どうすればいいかわかっているのに、かんたんなはずの一歩が踏み出せない。
おとなでもありふれて経験するような、友だちとのそんなむずかしいケンカに、少年たち(と一匹のこぐま)は、どう決着をつけるのでしょう?
夏休みは、まだはじまったばかり!
たのしい夏休みをとりもどすために必要なのは、ほんのすこしの勇気だけ──
(堀井拓馬 小説家)
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