「あかずきん」と言えば……?
そう、女の子がおばあさんの家に行くと、待ち構えていたオオカミがおばあさんのふりをして女の子を食べてしまう昔話です。
ところがこのおはなしは、似ているけどちょっぴり違うんです。
「リトルレッド」が主人公の“あたらしいあかずきんのおはなし”
それは、どんなおはなしかというと……。
ある日、お母さんに「おばあさんに ケーキを とどけてきてくれない? ぐあいが よくないみたいなの」と言われたリトルレッド。
おばあさんの家をめざし、森へ入っていくと、途中でオオカミに会います。
「ここで たいていの おんなのこだったら こわがるはず。だけど このこは ちがいました」
全く怖がらずにオオカミと話すリトルレッド。
一方、オオカミは計画を立てて先回り……。
「ついてなかったのは おばあさん」と、食べられてしまうシーンが描かれます。
まあ、ここまでは同じですね。
さて、オオカミはおばあさんのめがねをかけ、寝巻きを着てベッドに寝転がり、リトルレッドを待ちますが……。
斬新な「あかずきん」に舵を切る展開はここから!
ぜひ絵本を見てほしいのですが、ダイナミックな構図、モノクロの中のビビッドな赤の色づかいがおしゃれ。
(ちなみにリトルレッドは頭巾だけでなく、着ぐるみのようなフード付きワンピースも長靴も、全身、赤!)
一見あまり表情が変わらないリトルレッドの存在感に釘付けになっちゃう。
作者のベサン・ウルヴィンはイギリスの作家で、2014年にこの作品でマクミラン・イラストレーション賞(The Macmillan Prize for Illustration in 2014)を獲得。
2016 年にはニューヨーク・タイムズ紙による児童書のベストイラストにも選ばれています。
絵本作品が邦訳出版されたのは初めてですが、同じコンセプトで作られた『ラプンツェル あたらしいかみながひめの おはなし Rapunzel』とあわせて注目度大です。
翻訳を手がけたのは、明るいキャラクターで、テレビやラジオで活躍するタレントの関根麻理さん。
本書は同時発売の『ラプンツェル あたらしいかみながひめの おはなし Rapunzel』とあわせて、関根さんが初めて翻訳した絵本だそう。
小気味いい女の子のキャラクターが伝わってくる軽快な訳です。
2冊あわせて読んでみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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