SOS宇宙人襲来! 地球は宇宙人にせんりょうされてしまうのだろうか。ついに妖怪たちのたちあがるときがきたのだ。
第一刷1980年、昭和55年。80年代にテレビアニメで放映された「ゲゲゲの鬼太郎」世代の私には、非常に懐かしい名作絵本。
簡単な文章と、水木先生の渾身の妖怪絵画が贅沢に組み合わされた物語。
・おばけ宇宙大戦争
・ねこ町キップ の2話を収録。
第2次世界大戦を経験した筆者は、その体験を漫画によく反映されている。宇宙人が地球を征服しに攻めてきて、大都市を襲撃する。人間には非常に効果があった超化学兵器(くさい匂いを発する、という画期的なもの。殺傷能力、おそらくゼロ)が妖怪には効かない。鬼太郎をはじめとする日本の妖怪連中は「日本が征服されれば、おいらたちも不自由するんだぜ」という理由で立ち上がり、反撃する…
なんとも生活感あふれる生々しい台詞で、笑える。
護衛もつかずに総理大臣が民衆のなかに出て来たり、結構、なりふり構わず、登場人物がどんどん自分の役目をこなしていく素早く、簡素な展開。このずんずん進んでいく、やや強引な感じが水木作品の魅力でもあり、笑いどころでもある。単純明快だ。壮大な話が、意外と庶民臭い感覚で語られ、妙に生々しくておかしく、悲しく、恐ろしい。
作品中に、侵略される側の悲劇などの悲しみ、人間の愚かさなども組み込まれていて、社会に対する批判や著者の意見などを垣間見ることもできる。
ねこ町キップは、打って変わって、小規模の謎めいた作品。詳細は是非とも本書を読んで楽しんで頂きたいが、読了後、日常の中にもちょっとしたことで異界へ紛れ込む可能性を感じて、ちょっと怖い作品だ。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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