「おいしくなあれ」
おじさんやおばさんが、いっぱい声をかけてくれて、
すくすく育ったぼくはほうれんそう。
「いただきます!」「おいしい!」っていう声を楽しみに待っていたんだ。
でも、ぼくは食べてもらえません。
わたしはうしです。
栄養たっぷりのわたしのおちちが自慢です。
でも、わたしのおちちは飲んでもらえません。
それは、ある日突然やってきた。
色もない、香りもない、形もない、音もない。
見ただけではわからない、ナニカ。
突然断ち切られた、ほうれんそうたちの想いとは。
怒りとは。悲しみとは・・・。
「日本のこどもを守りたい。地球上のこどもたちを守りたい。
未来のこどもたちに、心配の種を残しておきたくない。」
医者であり、作家である鎌田實さんと、絵本作家である長谷川義史さん。
ふたりがしっかりとタッグを組んで、
2011年3月11日に起きた事故のこと、
いっしょうけんめい生きていたほうれんそうのこと、
これからの地球のこと、
こどもたちに正面きって伝えたい、
そういう熱い気持ちで取り組まれたのがこの絵本です。
今、何が起きているのか。
どんな事を考えなくてはいけないのか。
ふたりの「強い想い」を感じながら、親子で話ができることを願います。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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