表紙で、自分の背よりも大きなティースプーンを持って、こちらをじっと見つめる少女。
それがカーニャ。マッチ箱くらいの大きさの小さな女の子です。
カーニャはマッチ箱の中で寝てみたいな、と思います。
そんな思いつきから心ときめく素敵な冒険物語が始まります。
マッチを放り出し、ふわふわのまくらを見つけ、見張り番を連れてきて。
全部自分で整えるとマッチ箱の中でカーニャはすやすや眠りにつきます。
その間に帰ってきたのはうさぎさん。どうやらここはうさぎさんの部屋?…考える間もなく、
マッチ箱に描かれていた小鳥とともに、マッチ箱とカーニャはふわりと外へ飛び立ちます。
そこにはもうちょっと広い世界が広がっていて、植物や川、そして電車も走っています!
更にぼうしの切符をかぶって電車に乗ったカーニャがトンネルの中で見たものは、たくさんの星!!
次々と展開していく場面、それぞれに登場するのは可愛くて、ちょっと懐かしくて、キラキラしたものばかり。まるで宝箱を次々に開けていくような感覚です。展望台でカーニャと一緒にうっとりと幸せな気持ちになっていると、そこにあらわれたのは女の子。(どうやら普通の大きさのようです)そしてその子は言うのです。
「そろそろ もどりましょう」
え、ここはどこなんでしょう?カーニャはどこから来たの?
最後に向かって、まだまだ驚きの展開は続きますよ。
そして、読み終えると更にこの絵本が愛おしくなってしまうのです。お楽しみに…。
夢があって、趣のある美しさを放つ、北見葉胡さんの世界。
じっくり味わってくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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