ちっちゃな女の子「ゆびさきちゃん」。
ママに「おふろ、パパといっしょにはいっちゃって!」と言われますが「やだ。おふろきらい!」とトコトコどこかへ出かけていってしまいます。
リュックをもってガチャッと玄関のドアをあけて……。
あれ、ゆびちゃんどこへいくのかな?
大人気『100かいだてのいえ』シリーズの作者、いわいとしおさんの絵本。
一枚一枚の絵の中の、キャラクターが歩く道を指でたどることで、まるで迷路をたどるような楽しみ方ができる絵本です。
ゆびちゃんがトコトコと歩いて、すべりだいに駆け寄り「トットットッ」「すいーっ」「タッ」と着地。
「キーコキーコ」とぶらんこ。岩場の高いところで「ヤッホ〜〜」!
たくさんの効果音が子どもたちをわくわくさせ、ぐっと引きよせ、ゆびちゃんの世界に連れていってくれるんです。
絵探しもおもしろさのポイント。
ゆびちゃんが「みっけ!」とひろったどんぐりは、ロープウェイや汽車に乗るお金になります。
きのこ集めを手伝ったお礼にくまさんからもらったはちみつは、のどが痛いおさるさんのお薬になります!
場面がどんどんつながり、登場するうしさん、ぶたさん、たぬきさん、くまさん、おさるさんたちが最後に全員集合するのは壮観!
子どもが手でもつのにちょうどいい小さめサイズは、ママのかばんに気軽に入れられるサイズでもあります。
一度読んであげたら、きっと何度でも子どもがひとりでめくって楽しめるでしょう。
絵本を開いてゆびちゃんに指を当て、いっしょに冒険する……そんな横顔が見られますよ。
個人的には「ニャ〜 おれもコンサートにいくんだ いっしょにいこうぜ!」
とたのもしげな表情でゆびちゃんの手をとり、船にのせてくれるねこさんがお気に入り。
こんなねこさんに船にのせてほしいなあ。
さて、ゆびちゃんはちゃんとおうちにかえるのかな?
パパにおふろでおしゃべりしているゆびちゃんの声が聞こえてきますよ。
こんな「いえで」なら楽しそうですよね!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む