働く車が活躍する絵本はとても人気がありますが、そんな中でも、この絵本はちょっと違ったテイストのようです。
表紙の、大胆な構図で描かれたかっこいいショベルカー。このショベルカー、よく見るとちぎり絵とコラージュで描かれているんです。
ページを開くと、そこはどこか外国の工事現場。
古い建物を鉄球を使って壊して、測量して土地をならし、コンクリートを流して土台を作って・・・。
ページをめくるたび、ブルドーザーに、ミキサー車、様々な働く車が登場し、現場の人々が働き、徐々に家が出来上がっていく様子が定点観測のように写実的に描かれていきます。
それだけでワクワクするのですが、重機やブロック塀や瓦礫、泥、ビルや街行く人、重機の吐く煙まで・・・、画面にあるもの全てが、いろんな種類の紙と、紐や網など、身近な素材の切り貼りで出来ていることに驚かされます。ボール紙の凹凸や新聞の文字、郵便物のスタンプなどが、風景に溶け込んでいるのが眺めているだけですごく楽しい!ぜひ、実際に絵本を開いて、絵のすみずみまでその質感を味わってみてくださいね。
工事の工程を説明するリ文章も、リズミカルで、しかもちょっと面白い配置になっています。絵に合わせて、重機の周りや人の作業に沿って、斜めになったり波打ったり。絵の一部のようにレイアウトされ、工事の活気のある雰囲気を盛り上げてくれています。
働く車ファンの子どもはもちろん、大人も目を輝かせて「うーん」と唸ってしまう、スタイリッシュな絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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