宝石のようにランランと輝く緑の瞳。
仕立ての良いタキシード柄がお似合いの
白黒の猫がいるのは屋根の上。
誕生日の贈り物だったネコは
あたらしいお家の中をすみずみまで探検して
品定めしています。うん、わるくない。
なにって、このベランダ!
ここからさ、屋根にのぼれるよ。
あっちの屋根もこっちの屋根も。
毎日せっせとのぼって通いつめたのは
ネコだけの特別な場所。
「ここは せかいの てっぺん!」
誇らしげに一番高い屋根の煙突から
下界を見下ろせば、そびえたつエッフェル塔と
どこまでも広がる美しいパリの空。
なんて素敵な見晴らしなのでしょう。
ネコはここから景色を見下ろして、
世界を征服した王様のような
気持ちになっていたのかもしれません。
ところがです。
ネコにとっての平穏な日々は、ある侵入者の出現によってとんでもない1日に変貌してしまうのです。
ふふふ、なにが起きたかって?
是非、絵本をひらいて目撃者になってください。
読んだ人は、必ずこのネコという魅力的な生き物に夢中になってしまうはず。ネコって本当に可笑しくて愛おしくてたまらない!そんなネコへの愛情に溢れているこの絵本は、「まいごになったねこのタビー」(徳間書店)で誰にも真似できない写実的な表現で猫好きからも大絶賛されたC・ロジャー・メイダーの2作目の作品です。
今回登場する猫ちゃんは、6階から落ちてもケガひとつしなかったという姪っ子さんのスーパーキャットがモデル。ミュゼットの調べが風にのって聴こえてきそうな、そんなパリの風景によく似合う、屋根の上でのちょっとしたお話。最後にネコだけが独り占めしていたこの眺め、絵本の中でじっくりと味わってくださいね。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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