ビクスビー先生は、変わってる。
ピンクの髪で、あざやかな色のセーターを着ている。
引用が好きで、いろんな格言を知っている。
物語との出会いを演出するため、本をいろんなところに隠す。
そして、小さな勝利も、大きな勝利だと感じさせてくれる。
そんなビクスビー先生が、ガンになった。
空想家の冒険好き、芸術肌のトファー。
博識で理論的、抜群の記憶力を持つスティーブ。
腕っぷしは強いが、どこか影をたたえたブランド。
親友の三人は、みんなビクスビー先生のことが大好きだった。
お別れをいうこともできず、そのうえ先生が遠く離れた家族の元へ帰ることになったと聞いた三人は、とある計画を実行に移す。
先生の「理想的な最後の日」を叶える、という計画を――
数々の媒体で、2016年のもっとも優れた児童書として選出された一冊!
ビクスビー先生に会うため、トファー、スティーブ、ブランドの三人は、学校を抜け出して病院へ向かいます。
しかし、その道中には思いもよらない試練と、出会いが待ち受けていました。
手を取りあってトラブルに立ち向かい、ときに衝突しながらも「理想的な最後の日」のための準備を進める三人。
その中でビクスビー先生との大切な記憶を思い返すうちに、彼らはみずからの苦悩とも向き合うことになります。
子どもであることへのふがいなさ。
おとなへの期待と失望、もどかしさ。
変わっていく自分と、変わっていく友だち。
あわい恋心と、死。
少年たちが、その青春の中で戦うべき敵はたくさんいます。
そんな戦いの中で先生に救われ、背中を押された過去。
そんな先生に報いるため、日常を飛び出し、戦っている現在。
ふたつの時間を三人それぞれの視点から描き、ほんの一日の冒険を通して彼らが成長していく過程を、みずみずしく描き切った珠玉の青春物語です。
(堀井拓馬 小説家)
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