温かそうな上着にマフラー、帽子を目深にかぶった男の子が、大きな虫とりあみを持って、玄関で靴をはいています。
「あれ? ふゆに むしとりあみもって、おにいちゃん どこいくの?」
この兄弟、覚えていますか?
そう、前作『むしとりにいこうよ!』で話題となった、虫とりの天才のお兄ちゃんとやんちゃな弟くんのコンビです。
お兄ちゃんと一緒に外へ出かけると、不思議、いつもの道にだんだん虫がいっぱい見えてくるのです。
「虫とりの楽しさが伝わってきた!」「すぐに出かけたくなった」「兄弟のやり取りが微笑ましい」
なんて声がたくさん聞こえてきます。この絵本のおかげで、虫に興味を持った子も多いのでは?
今回はちょっと様子が違います。
だって、今は冬。こんな寒い日に出かけても、虫なんていないんじゃないの?
ところが、それは違うらしい。
お兄ちゃんは言います。
「ふゆでもさ、さいきん あたたかいひが つづいただろ。こういうひが いいんだよ」
一体、どんな虫が見つかるんだろう……そう思った途端!
「ほーら、いた。そこ。」
ほんとだ、葉っぱの上にヒラタアブ。コマルハナバチもいます。
夏とは全く違う様子の山の公園に行ってみると、さらにテントウムシや、イラガのマユ、ミニムシやキタテハまで。
やっぱり天才お兄ちゃん。寒い公園の中でも次々に虫が見えてきます。
今回も、クライマックスはやっぱり弟くんのお手柄なのですが、何を見つけたのでしょう?
冬に虫とり。こんな楽しみ方があったなんて!
なんだか得した気分です。
共著に日本野生生物研究所代表の奥山英治さんを迎えて、さらにパワーアップした「むしとり絵本」をお楽しみください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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