「ピンクちゃん」とあだなをつけられた気の弱い少年次郎が,尊敬する高杉晋作にならい決心して和歌山の母親の里に一人旅に出た…。
後書きを読むと分かりますが、この本は今江さんの作家として活動を始めた初期のもので、初の長編童話作品だそうです。
作者が若い時期に書いているので、その若さの影響が作品に流れ込んできているように感じました。
主人公の少年:次郎(中1)ほか、登場する少年少女たちも中学生や十代のチンピラ(ヤンキー)たちも、みんな瑞々しいくらいの若さで、ピチピチしてました。
(この作品では魚やウナギを取るシーンが多く、何となく、この言葉がしっくりくるような気がします)
それから、登場する先生がとてもいい!
今、こういう井山先生みたいな先生は、とても少なくなった気がします。
時代は戦後から少し経った昭和の時代。
たぶん、社会は少しづつ落ち着きを取り戻し、高度経済成長を始めている時期で、戦争の傷跡もだんだん薄れ始めた頃。
少年少女たちの前向きでで明るい性格や行動力にワクワクしながら読みました。
今江さんがケストナーの作品を見習って書いた。と後書きにかいていて、ものすごく、腑に落ちました。
日本版ケストナーって、イメージの物語です。
中学生くらいのお子さんたち、夏の思い出にぜひ一度読んでみてください。 (てんぐざるさん 50代・ママ 女の子19歳)
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