ある日曜日、パディントンは仲良しのグルーバーさんと散歩に出かけました。
公園では、たくさんの絵が飾られていて、「青空てんらんかい」が開かれていました。
並んでいる絵を見てみましたが、なかなか気に入るものがありません。
家に帰ったパディントンは、すぐに自分の部屋からありったけの絵の具や筆を持ち出して、庭で絵を描き始めました。
次の日曜日も、グルーバーさんと散歩に出かけたパディントン。
家まで戻ってくると、自分で描いた絵を飾って、こう言いました。
「どうぞ、みていって!」
でも、夕焼けや大雨の絵は、うまくは描けなかったようです。
自画像も、鏡を見るために家の2階と庭を、行ったり来たりしながら描いたから、あんまり似ていないみたい。
なかなか難しくて、絵を描くのをやめようとするパディントンに、
「ぜひ、つづけてほしいな」と言って、グルーバーさんは帰っていきました。
だれか絵を見て、買ってくれたらどんなにうれしいだろう。
そう思いながら、パディントンは、こっくりこっくり眠ってしまいました。
目が覚めるとびっくり!
絵が一枚も残らず売れていたのです。
パディントンの絵を買ってくれたのは一体、誰なのでしょうか?
パディントンは次にどんな絵を描くのかな?
世界的に人気のイギリス児童文学「くまの パディントン」が、小さいお子さんにも楽しめる絵本シリーズになりました。本書は第7作目です。
いろいろなことに挑戦し、まわりの人たちを巻き込みながらも幸せにしてしまうクマのパディントン。
今回ははじめての絵画に挑戦です。
おはなしを読んだ子どもたちも、パディントンのように何かに挑戦する気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
私たち大人は、子どもたちの挑戦を、クレバーさんのように優しく、そっと背中を押すように見守ってあげたいですね。
『パディントンのにわづくり』『パディントンのサーカス』など、シリーズもぜひ楽しんでください。
(絵本ナビ編集部)
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グルーバーさんと公園で行われている「青空展覧会」に出かけたパディントン。作品はたくさんあるけれど、どの絵もどうもしっくりきません。それで自分が絵を描いてみることにしました。さて、納得のいくものが誕生するかしら。
編集者コメント
絵を評価することは決して易しいことではありませんが、パディントンは自分の感覚のままに絵と向き合い、他人の作品に満足するのではなく、その感覚が生きる絵を自分で描くことにしました。本人はいたって大真面目で真剣で全力を尽くします。それはつい微笑んでしまう、おかしみに満ちていて、さいごはやっぱり、周囲を幸せにしてしまうのでした。周りのひとのあたたかさにも包まれて、ますますパディントンは愛すべき存在になっていきます。
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