「ママ、みて。ふねをつくったよ。パパにあげようかな」
「あら、すてき!きっとパパがよろこぶわ」
バークリーは、海辺の小さな家にママとふたりで暮らしています。
贅沢な暮らしではありませんが、ふたりはしあわせです。
遠い場所から流れついた流木をひろって、バークリーはパパのために舟を作ります。今でもパパが恋しくなって会いたくなります。でも、もう会えません。会えないパパに届くように、メッセージを書いたカードをつけて舟を海に浮かべているのです。
「だいすきなパパへ。バークリーより」
舟が戻ってこなかったら、パパがうけとってくれたってことだよね!そう思ったら、バークリーは舟をもっとたくさん作りたくなりました。ママも応援してくれて、ふたりは、特別なことがあるたびに舟を作るようになりました。
ところが、一年たったある日、バークリーはこれまでママがついていた「優しい嘘」を見つけてしまいます。
ママが子どもを思うきもち。
子どもがママを思うきもち。
こんなにもかけがえのない大切な気持ちを教えてくれたこの絵本を、そっと抱きしめたくなりました。言葉にしなくても、ママの思いが自然と子どもに伝わるとき、子どもは成長しているのですね。いつもバークリーと一緒に遊んでくれるママにバークリーがどうやって感謝の気持ちを伝えたのか・・・。静かなあたたかい気持ちが込み上げて、涙します。表と裏の見返しも凝っているので見てくださいね。バークリーの成長の記録です。
誰かのことを思う気持ちを教えてくれる、素敵な一冊です。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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