相撲が好きで、いつもテレビで相撲を見ていた少年。
彼が憧れたのは、おすもうさん……ではなくて「よびだしさん」。
扇子をサッと広げて、おすもうさんの名前をよく通る声で呼びあげる。
めちゃめちゃかっこいい。
5歳の誕生日の時、お母さんが大相撲に連れていってくれた。
本物の相撲は迫力が違う。そして、テレビでよく見るよびだしさんにも会えた!
そこで朝稽古に誘われて……。
中学を卒業してすぐに大相撲の世界に飛び込んだ少年の成長を描くこの絵本。迫力の力士たちに混ざって、繰り返し練習をし、同時にいくつもの仕事を覚えていくその様子は、ひたすらにまっすぐで清々しい。
「おれ、よびだしになる」
彼が幼い頃に決意したその気持ち。それがどれだけ強く本気のものだったのか、読み終わって伝わってくるのです。彼を応援し、しっかりとバックアップしていく周りの大人の役割も大きいはず。段々と自信に満ちていく彼の表情を眩しく見ながら、子どもたちも刺激を受けるのでしょう。
そして驚くのは、想像以上に多岐にわたる「よびだし」の仕事。見えないところでしっかりと大相撲の世界を支えているその様子を見るうちに、これはもう興味を持たずにはいられなくなってしまいますね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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