大きなくまが、小さなくまに、地球義のような風船を差し出す表紙。
小さなくまは微笑んで受け取ろうとしています。
ページをめくると「あなたがいてくれたから」ではじまる文、色鉛筆のようなやさしいタッチの線画で、小さなくまの日常のあれこれが綴られていきます……。
最初はロケットや惑星が描かれた本を読む小さなくまの姿。
「あなたがいてくれたから 私は 考えることが 好きになりました」
次はキャンバスに向かって、手で絵を描く小さなくまと、ローラーや画材の箱を手に持ち、絵筆を差し出す大きなくま。
「あなたがいてくれたから 自分が思うより ずっと たくさんのことが できるのだと 気づきました」
大きなくまは、小さなくまを見守るように寄り添います。
「あなたがいてくれたから チャレンジすることは楽しいと わかりました」
「あなたがいてくれたから 進むべき道は ひとつではないと 知りました」
そして
「あなたがいてくれたから いつだって 助けてほしいと 言えたのです」……。
後半になるにつれ、大きなくまは笑顔を見せ、小さなくまと一緒に遊んだり木にのぼったりするようになります。
まるで大きなくまが成長する我が子を見守るようにも見えて、親目線で読むと、子どものこんな存在になれるだろうか、そうなっていかなければという気持ちになります。
実は、絵本の前見返し部分に「ありがとうの気持ちをあなたに贈ります」という一文とともに、メッセージを書き入れられるスペースがデザインされていて、愛と感謝の気持ちを伝える贈りものにぴったりの絵本なのです。
生成り色のぬくもりを感じる紙、ちょっと小さめのサイズがかわいらしい。
恋人やパートナーへはもちろん、嬉しいとき、つらいとき、悲しいとき……寄り添ってくれた大切な友人へのプレゼントにもおすすめです。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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