「やあ、みんな! みんなは、どんなおとなにも、なかにはこどもがいるってこと、しってたかな?」
おとなになったって、怖いものは怖い。イジワルな人もいる。泣き出したくなることもある。
子どももおとなも、ほんとはおんなじ!
でも──
「おとなたちは忙しくって、もうくたくただってふりをして、自分の中にいるこどもを隠しているんだよ。でもね、そんなことはできっこない。おとなの中のこどもたちは、遊びたくってたまらないから、ときどき外に飛び出しちゃうんだ!」
おとなになるって、どんなことなのかを知りたい、子どものみなさんへ、伝えたいこと。
そして、子どものままでいるって、どんなことなのかを知りたい、おとなのみなさんへ、伝えたいこと。
おとなだって、むかしは子どもだったんだ!
それに、もしかしたら今も──?
踊り出したいくらい、たのしい気分のとき。
欲しいものを前にして、たまらなくウキウキしているとき。
子どもも大人も、そんな心のありようは、きっと同じはず。
それでもおとなは、忘れてしまいます。
自分が子どもであったことを。
自分の中の素直な声に、耳をかたむけ、したがうことを。
「でも、忘れないで。自分の中にいる子どもを、これからも大切にして、ちゃんと話を聞いてあげてほしい」
著者の語る、自分の心の素直なありようを愛そうというメッセージに、心打たれる一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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