ぞうくんはとってもやさしくて、
みんなぞうくんのことが大好きなのですって。
それは、ぞうくんが、いつでもどこでも、きちんとあいさつができるから。
道でお友だちにばったり会ったとき。
バスを待つとき。
バスの中が混んできたとき。
お友だちの家に遊びに行ったとき。
お友だちが家に来てくれたとき。
家族でごはんを食べるとき。
などなど、子どもたちの生活の中でおなじみの場面ばかりなので、ぞうくんのことがとても身近に感じられるのが、うれしいところ。
「こうしたらダメ」ということはいっさい書かれていなくて、ぞうくんの言葉やふるまいから、「こうしたらいいんだ」と自然に思わせてくれるのも素敵です。
「こんなときはなんて言えばいいかな?」「ぞうくんみたいにできるかな」「こうしてもらうとうれしいね」と、親子で話しながら読むのもいいですね。
礼儀正しくて優しいぞうくんの姿を見ていると、ルールやマナーって、「守らなければならないもの」だから守るものではなく、みんなが気持ちよく毎日を過ごせるためのものなのだなーと、改めて気づかされます。
作者のリチャード・スキャリーさんは、アメリカの児童文学作家。スキャリーさんが描き出すやさしい物語と温かみのある絵は、世代をこえて世界中で愛されています。
この本も1963年に描かれたものなのです。時を経ても色あせることのない素敵な絵本を、ぜひお子さんと一緒に楽しんでみてください。
(山田裕子 小学校司書)
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