春がきて、まだねむっていたオオムラサキの幼虫ムーくんは、おふとんにしていたエノキの葉っぱごと風に吹き飛ばされてしまいます。「あれ?ここはどこ? ぼく、なんだかすっごくおなかがすいてきた」
食べ物を探してあっちへうろうろ、こっちへうろうろ。手当たり次第に葉っぱをかじってみるけど、ツマグロヒョウモンの幼虫が食べるスミレの葉っぱだったり、ヒメジャノメが食べる固いススキの葉っぱだったり、アゲハの幼虫が食べるミカンの葉っぱだったりなんか違う〜。そこへムーくんそっくりの「顔」(ぬけがらのお面)があらわれて、ようやくムーくんのごはんの木を発見!全速力でよじのぼりむしゃむしゃむしゃ。ん〜〜これこれ!おいしそうに食べまくるムーくん、ついにさなぎになって・・・。
オオムラサキ(日本の国蝶に指定されている美しい蝶)の幼虫はニレ科のエノキの葉っぱしか食べないんですね。それを作者のタダサトシさんは「一途な気持ち」と「脇目もふらない食欲」とあとがきで書いています。ツノがあるコアラ(?)みたいな顔をしたムーくん、オオムラサキの幼虫って本当にこんな顔なんですって。か、かわいい・・・。世の子どもたちのハートをがっちりつかんだ『カブトくん』『カマキリくん』『ありんこ リンコちゃん』につづく虫の絵本第4弾です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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