「ふわっ
あっ かぜだ」
男の子の服をゆらすかぜ。
ぼうしを飛ばすかぜ。
かぜは、「いろんなかぜにあいにいこう」と誘います。
ほんのりピンクに色づいた、ほっぺもかわいい、春のかぜ。
そよそよ流れ、お花もゆらゆらおどりだす。
もわんもわん、雨の日のなまぬるいかぜ。
しっとりたっぷり水をふくんだ雨雲を、ひもでひっぱるかぜの表情がおもしろい!
むんむん暑い夏のかぜや、砂や落ち葉をぶわーっとふきとばす秋のかぜ。
ひんやりつめたい、ほそいかたちですうすうっとしのびこむ冬のかぜ。
季節のいろんなかぜを、山田美津子さんがほのぼのしたイラストレーションで描きます。
目に見えない、透明でつかみどころのないかぜ。
でもかぜが吹けば、服がめくれたり木々がゆさゆさゆれたり、砂がまいあがったり、いろんな変化がおこります。
作者の山田美津子さんは、そんなかぜの様子を見ていると、なんだかかぜが遊んでいるみたいで好きなんだそうです。
子どもたちもきっと、かぜのたくさんの表情を知っていますよね。
大人が知らないところで、じっとみつめたり、口に出さずともかぜと会話をしているかもしれません。
いつもそばにいて、どこかからすうっとしのびこんでくる、友だちのようなかぜ。
子どもたちにとっての「かぜ」を想像しながら、絵本を楽しんでくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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