ビッキは、とうがらしのように真っ赤っかで、くりっとした目をした、おにの子。
頭には、もじゃもじゃの毛にうまるように、小さい角が一本はえています。
ビッキは家族と一緒に、おにの村に住んでいます。
お兄ちゃんとお姉ちゃんは、おにの学校に通っていますが、ビッキはまだ通えません。
なぜなら、大おに校長の金ぼうより背が大きくならないと入学できない決まりだから。
くやしいビッキは、いつか学校に入学し、授業についていけるようになるため、毎日ひとりで特訓を重ねますが……。
そんなビッキがある日、ひょんなことから、とんびにさらわれてしまいます!
空の高いところから「ギャーッ!」と落ちてしまうビッキはどうなるの!?
本書は「こぐまのどんどんぶんこ」シリーズの一冊。
本を読むのがちょっと苦手な子も、どんどんたのしく読めるようにと工夫された幼年童話シリーズです。
小学校低学年の子どもたちの1人読みにはぴったり。絵本の次に何を読もうかと迷っているお子さんがいたら、ぜひ手渡してあげたいシリーズです。
早く大きくなりたい、お兄ちゃんたちに追いつきたい!というビッキの気持ち……よくわかりますよね。
ひとりでがんばっているときにとんびにさらわれてしまう、ドキドキの展開に思わずひきこまれます。
それにしてもビッキがあこがれるだけあって、かみなり音頭やすもうの授業がある、おにの学校はおもしろそうですよ。
おにの村は、夕方、日のしずむ方向から目だけを右に動かしていって……ぎりぎりはじっこに、空がひときわ群青色になっている場所を探すとあるのだそうです。
おにの子ビッキに会いたくなったら、この本をよーく読んで、探してみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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