そよかぜ野原のちいさなおうちに住む、ゆかいな3人組。
くまのピーノと、女の子のハナ、はりねずみのチックの一日が描かれます。
3人そろって目がさめ、いっしょに朝ごはん。
メニューは同じだけど、ピーノのパンはびっくりするほど大きいー!
おばけパンを食べたピーノ、お腹がぼよんと出て、上着のボタンがしまらなくなりますが、やさしいハナがリボンで前を結んでくれます。
くまのピーノはすぐに食べ過ぎちゃいます。
さくらんぼを食べ過ぎて、さくらんぼ色の風船みたいになったり。
たまごを食べ過ぎて、たまごおばけみたいな体になったり。
こりないピーノ、ゆかいなピーノ。
食べたもので体の形まで変わるから、ピーノっていうくまは、ふしぎです。
でも、たっぷり遊んで……遊び疲れたハナとチックを夕焼けの中でおんぶするピーノは、すてき。
帰りついたおうちで、2人のお世話をするピーノはたのもしくて、あたたかくて……。
こんなふうに友だちと同居できたら、きっと楽しいでしょうね。
透明感のある水彩で、「3人暮らし」がかわいらしく彩りゆたかに描かれているのが本書の魅力。
野菜やお料理もおいしそう。
リビングの丸テーブルには大中小の椅子が3つ。暖炉のそばにも大中小のソファーが3つ。
靴もコートも玄関にそれぞれ3つそろっています。
3つ並ぶ様子はまるでイギリスの童話「3びきのくま」みたいですが、本書は女の子のハナが、くいしんぼうのピーノと、こわがりなチックの間をとりもって、仲よく暮らしているところがちょっとちがいます。
ひとつひとつ、やさしいタッチで描かれた場面をいつまでも見ていたくなる絵本です。
「きょうも ゆかいな いちにち だったね……」
3人並んでねむるベッドのそばの窓からは、風が葉をゆらす子守歌がきこえます。
こんなおうちに暮らしてみたいなあ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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