「2WAYおはなしブック」シリーズ6作目です。『3びきのこぶたと4ひきめのこぶた』『おおきなかぶとちいさなかぶ』『うさぎとかめとあり』など、名作と、ページを開いてしかけで少し違うおはなしが楽しめるこのシリーズ、今回はイソップ寓話でおなじみの「北風と太陽」です。
まず、しかけを使わず読んでみると、おなじみのおはなしをきちんと押さえることができます。
穏やかな日、太陽がやさしく地上を照らしているところへやって来た北風。力持ちで何でも吹き飛ばせることを自慢します。そこで、太陽と北風で通りがかった旅人の服をどっちが脱がすことができるか勝負をするのです。結果はみなさんご存じのとおりですが、説教臭くなく、仲良く収まるのが心地よいです。
次に、しかけを使って右ページを開いて読み進めると、旅人が二人登場し、同じ場面で違う行動をとっていることがわかります。もう一人の旅人が、北風の場面で服を脱ぎ、太陽の場面で服を着たのは、いったいなぜでしょうか?
北風を一層感じるこの季節、このおはなしは教養としても子どもたちに伝えたいですね。だからこそ、ユーモアたっぷり、大らかな絵で描かれたこの作品はいかがでしょうか。もうひとつのおはなしの、意外な展開を楽しみながらも、北風と太陽の寒さ温かさという体感も伝わってきます。
(中村康子 子どもの本コーディネーター)
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