小さなリスがゾウとアリと森の中で一緒に暮らしていました。そんな不思議な設定のお話がチェコから届きました。
3人が住んでいるほら穴はリスにはちょうどいいのですが、大きなゾウには「狭すぎ」て、小さなアリには「大きすぎ」ます。ゾウが文句を言っても怒らせると怖いのでリスは黙っていました。アリは小さな部屋を作ってやっと落ち着きました。こんな3人が一緒に暮らすなんてどんな感じなのでしょう?
ごはんをつくると「もっといっぱいつくってよ、食べた気がしない。」と大きなゾウ。「そんなにつくらないでよ。」と小さなアリ。
そうじをしても「ごみなんか落ちてやしないよ。」とゾウ。「これでそうじしたつもり?」とアリ。
リスはどうしてこんな二人と一緒にいるのでしょう、でも答えは簡単「わたしあのふたりがすきなの。」それを聞いた瞬間から私は3人の生活の全てが愛しく見えてくるのでした。
3人でピクニックへ出掛けると、文句を言いながらゆっくり歩くゾウ。あんまり遠いものが見えないアリののためにリスは星の絵を描いてあげます。
そんなリスの身に、ある日危険がせまります・・・。
深い緑の自然の中で、他人から見ると一見分からない表面的ではない友情、愛情が描かれていて、気がつくと静かな感動に包まれているのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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