くまのベルナルさんには、友だちがいません。いっしょにくらす家族もなく、いつもひとりぼっち。
でもベルナルさんは、「だれにもうるさくかまわれることにないくらしは、気楽でいい」とへいきです。
ある日、ベルナルさんのお気に入りのぼうしに、キツツキが穴をあけます。
巣をつくって住みついてしまった鳥に「今すぐ出ていってくれよ!」といいますが、動きません。
それどころか、ぼうしの穴はふえ、鳥たちはふえる一方。
ふしぎなことに、ベルナルさんのぼうしもどんどん高くなっていって・・・?
繊細なタッチのかわいらしい絵と、こころあたたまるストーリー。
ぼうしの穴から、くちばしや羽根をのぞかせるカラフルな鳥たちの愛らしさといったら、もうそれだけで気持ちがなごんでしまいます。
ほら、カップをもってちょっぴり頬を染めたベルナルさんと小鳥たち(表紙と中ページにもある絵)、すてきでしょう?
作者の今井彩乃さんは1980年ロンドン生まれ。ボローニャ国際絵本原画展にいくども入選し、『くつやのねこ』など絵本作品を発表。ストーリー性のある繊細な絵が高く評価される、注目の作家さんです。
ベルナルさんのぼうしはどうなってしまうのか。
鳥たちはいつかベルナルさんのもとを去るのでしょうか?
個人的には、夏のおわりに、ベルナルさんが鳥たちと浜辺へ出かけるときの絵が大好きです。
みなさんもお気に入りの絵をみつけてくださいね。
そして、秋から冬をこえ、春をむかえたベルナルさんのぼうしの姿も・・・お楽しみに!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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