このちょっと変わった物語は、カエルのビクトールが、森の入り口でぴかぴか光る王かんを見つけるところから始まります。
ビクトールはためしに頭にのせてみます。水たまりをのぞいてみると・・・りっぱな姿がうつっています。
何だか自分がとてもえらくなった気分です。
そこでビクトールは、仲間たちに自慢するのです。
「どうだ。すごいだろ?オレはあじさい池の王さまだ」
他の4ひきのカエルは、思わずビクトールにおじぎをします。
そうしなければいけない気がしたのです。
「ぶどう酒をもってこい」「ミミズのフリッターがたべたいなあ」
ビクトールは次々に命令をします。
ちょっと気持ちはわかりますよね。
立派そうに見える人を見ると、思わず従ってしまいそうになるものです。
でも、次の日。
今度は、マルクスというカエルが王かんを見つけ、王さまが2匹になったのです。
さらに次の日になると・・・。
ふんぞり返った王さまたち。この状況はこのまま続いていくのでしょうか。
しかし、事態は意外な展開に!
お話の続きが気になって、どんどんページをめくってしまいます。
新しいけれど、昔からある寓話のような、不思議な魅力のある絵本です。
「第30回日産 童話と絵本のグランプリ」童話大賞受賞作品なのだそう。
読んだ後、大人にも子どもにも、何かを心に残していくのではないでしょうか。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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